病と向き合った友達が、私にそっと手渡してくれた一冊の本。
タイトルは『ライオンのおやつ』。
長く読むことができなかった本を、友達が旅立った10ヶ月後、ようやく手に取りました。
読み進めるうちに、彼女の優しさと本の主人公が重なっていき──
心に刻まれた「大切なメッセージ」との出会いを綴ります。
「ライオンのおやつ」との出会い
「ライオンのおやつ」──
最初にこの本のタイトルを見たとき、私は「動物園のライオンの話かな?」くらいに思っていました。
実はこの本、病と向き合っていた大切な友達が私に手渡してくれた一冊です。
入院を繰り返しながら、少しずつ外出も難しくなっていった彼女。
元気な頃は、美味しいお店を見つけてはランチやお茶を楽しんでいました。コーヒーが大好きで、締めのコーヒータイムはいつも欠かせない時間でした。
入院生活が続く中、私がお見舞いに行くと彼女はいつも本を読んでいました。
「目が開けにくいわ〜」といつもはコンタクトですがベッドではメガネに変えながら、疲れないように少しずつページをめくっていました。
ある日、彼女は本を読み終えたタイミングでこう言いました。
「やっと読み終わったわ〜。ネットで本を探してたら、これがすごく気になって。きっといい本やから、よかったら読んでみて〜」
そうして私の手元に来たのが『ライオンのおやつ』でした。
なかなか読めなかった理由
本を受け取ってから、なかなか読む気持ちになれない日々が続きました。
厚い本ではないのに、どうしても心が向かず、本棚の一番目立つところにずっと置いていました。
友達から「読んでくれたかな?」と思われるかな…という気持ちもありましたが、なぜか読むことができなかったのです。
そして、友達が旅立って10ヶ月が経ったある日。
ようやく手に取り、ページを開く気持ちになりました。
📖読み進めて気づいたこと📖
読み始めてすぐに、私はハッとしました。
主人公の女性と、友達の姿が重なって見えたのです。
『ライオンのおやつ』は、余命宣告を受けた女性がホスピスで穏やかに過ごしていく物語です。
本当にやりたかったことを見つめ直し、日々を大切に生きていく──そんな優しくて温かいお話でした。
ホスピスでは「おやつの時間」があり、そこで自分の好きなおやつをリクエストできるシーンが登場します。
まさに、私の友達もホスピスで同じように「おやつの時間」を楽しんでいました。
🍧ホスピスでのかき氷の思い出🍧
お見舞いに行ったときも、ちょうどおやつの時間がやってきました。
「トントン♪」とノックの音がして、可愛いエプロン姿のスタッフさんがやってきます。
「今日はどうなさいますか?いつものかき氷、いちご味にミルク増々で?」
「わ〜嬉しい!いつものミルク増々で!」
と彼女が笑顔で答えます。
「おやつの時間ってレストランみたいにオーダーとりに来てくれるの〜!?」と私が言うと、
「そう!でもおやつは私のだけよ〜」と笑って返してくれました。
小さなカップに入ったミニかき氷を嬉しそうに食べる彼女。
「これだけはまだ食べられるわ〜。口から食べられるって嬉しいな〜」と優しく話してくれました。
3日後の夜8時──繋がるメッセージ
物語の中で、主人公は「私が旅立ったら、3日後の夕方に海岸で手を振ってほしい」と願いを伝えます。
それを読んだとき、私はまた驚きました。
友達も同じように、こう言ってくれていたのです。
「わたしが死んだら、3日後の夜8時に空に向かって手を振ってね」
彼女が旅立った後、私は3日後の夜8時、窓を開けて空に向かって大きく手を振りました。
もちろん、他の友人たちも、それぞれの場所から手を振ったそうです。
この3日後の夜8時 というのが ずっと疑問でした。
でも 同じように3日後に手を振っていた友達たちも同じように感じていました。
この3日というのが 現実だと思わせてくれて 残された者達が 前に進む生きる喜びを感じる
切り替えができたような 彼女の生き様がお手本となる清々しいような
空から見てるよ〜!と 何故か すごくすごく パワーをもらえた気持ちになれたんです。
本を読み終えた今、あのとき友達がこの本を選んでくれた理由が少しわかった気がしました。
きっと私が読むタイミングまで、彼女はそっと待っていてくれたのかもしれません。
ライオンのおやつがくれたもの
もし彼女から渡されていなければ、私はこの本に出会うことも、3日後や夜8時の意味も知らないままでいたでしょう。
『ライオンのおやつ』を読み終えて、友達との距離がさらに近くなったような気がします。
そして今、心の中はとても晴れやかです。
素敵な『ライオンのおやつ』
私にとって、大切な宝物になりました💫

素敵な 「ライオンのおやつ」 わたしの宝物です💫
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